秋田の伝統的工芸品

伝統的工芸品とは、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に
基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいい、
秋田県では4つの工芸品が指定されています。

樺細工のイメージ

樺細工

仙北市(角館町)

仙北市角館町で生産されている国指定の伝統的工芸品です。山桜の樹皮を使用しており、樹皮の模様と、深く渋い独特の光沢が外見上の大きな特徴となっています。

[歴史・特徴]

樺細工は、約230年前の安永~天明年間に、角館を治めていた佐竹北家によって、阿仁地方から角館に技法を伝えられたのが始まりとされ、武士の内職として育まれました。印籠や胴乱などの製作から始まったといわれ、現在は茶筒や箱物をはじめ、現代のライフスタイルを反映した生活用品や小物などを幅広く生産しています。樺細工製品は、湿気を避け乾燥を防ぐ特性を持っており、茶筒などにはこの性質が他の製品と差別化される大きな特長として活かされています。

川連漆器のイメージ

川連漆器

湯沢市(旧稲川町川連)

湯沢市の川連地区を中心に生産されている国指定の伝統的工芸品です。お椀や重箱など、古くから暮らしの必需品として生活に溶け込んでいました。堅牢な下地処理による丈夫さと、抑えた価格により、普段使いの漆器として人気があります。

[歴史・特徴]

鎌倉時代にこの地を治めていた小野寺重道公の弟:道矩公が農民の内職として武具に漆を塗らせたことがはじまりといわれています。豊富な森林資源と皆瀬川の水運など、恵まれた環境のもと、漆器の産地として発展していきました。川連漆器の特長である堅牢さは、柿渋と炭粉を混ぜたものを塗り、乾燥させ研ぐ「地炭つけ」の後、柿渋を塗り更に研ぐ「柿研ぎ」を行い、その後生漆を塗る「地塗り」の下地工程の丹念さによるものです。仕上げ塗りは、乾燥後の研磨をせず、刷毛で塗り上げたそのままを乾燥させる「花塗り」と呼ばれる高度な技法であり、製品に柔らかで穏やかな風合いをもたらしています。

大館曲げわっぱのイメージ

大館曲げわっぱ

大館市

大館市で生産されている国指定の伝統的工芸品です。
秋田杉の板を曲げて成形する技法が大きな特徴であり、木の弾力性が活かされながら、軽量性を備えています。また、杉の木目がそのまま活かされていて、木材の持つ「ぬくもり」が感じられます。

[歴史・特徴]

曲げわっぱは、平安時代の遺跡からも発見されるなど、非常に長い歴史があります。藩政時代、大館を治めていた佐竹西家が、地域の豊富な森林資源を活かし、武士の内職として奨励し、近代まで技術が受け継がれてきました。現代になりプラスチック製品などの流通による影響を受けましたが、近年の本物志向の風潮や現代のライフスタイルを反映した製品の開発などにより、徐々に需要が高まってきています。曲げわっぱ製品は、木材の香りや吸湿性、断熱性、軽量性といった特長が活かされており、弁当箱やお盆などの代表的な製品のほか、コーヒーカップなど現代のライフスタイルに合わせたデザインの製品も各種開発され、販売されています。

秋田杉桶樽のイメージ

秋田杉桶樽

大館市/能代市/北秋田市

大館市、能代市及び北秋田市で生産されている国指定の伝統的工芸品です。秋田杉を使用した桶や樽は、古くから暮らしの必需品として親しまれてきました。
近年では、プラスチック製品や金属製品などの大量生産の容器が普及し、普段の生活では見かける機会が少なくなっていますが、秋田杉桶樽は、素材としての秋田杉がもたらす木目の美しさと木の香りのほか、吸湿性や断熱性もあり、これらは大量生産品にはない大きな特長となっています。

[歴史・特徴]

秋田城遺跡から戦国時代のものとみられる桶の一部が発見されるなど、杉桶樽には長い歴史があります。江戸時代には、佐竹藩の保護のもとで産地が形成されていきました。桶と樽の最も大きな違いは、固定した蓋の有無です。固定した蓋のないものが桶、固定した蓋のあるものが樽です。また、材料としては、桶には柾目、樽には板目の材料を使います。伝統的な各種の桶・樽のほか、杉桶樽の技術と特長を活かしたお櫃、ジョッキやカップなどの現代のライフスタイルに合わせた商品も販売されています。

県指定工芸品、
その他地域を代表する
工芸品についてはこちらから